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設置趣意policy

研究会の詳細

  • 研究会名称: 日本機械学会 熱工学部門 相変化界面研究会
  • 主査:永井二郎(福井大学) 【2017〜2022年度の主査:高田保之 (九州大学)】
  • 幹事: 森昌司(九州大学),矢吹智英(九州工業大学),岡島淳之介(東北大学)
  •  【2017〜2022年度の幹事:永井二郎 (福井大学), 森昌司 (九州大学), 劉維 (九州大学)】
  • 設置期間:当初の設置期間   2017年4月〜2020年3月(3年間)
  •      延長(2020/3/9承認) 2020年4月〜2023年3月(3年間)
  •      延長(2022/12/27承認) 2023年4月〜  (2024年度より設置期間の定め無し)


「相変化界面研究会の設置」趣意書


 相変化を伴う伝熱は、顕熱と比較して数十〜数百倍の大きさを持つ潜熱を利用していることから、大量の熱輸送や機器の温度制御などに工業的に広く利用されている。例えば、鋼材制御冷却過程、熱交換器(蒸発器、凝縮器)、ヒートパイプ等に利用されている。蒸発器やヒートパイプでは、核沸騰熱伝達を定常的に利用していることから、これまで非常に多くの研究がなされ、沸騰熱伝達の整理式も提案されており、工業的には成熟の域に到達している。また限界熱流束については、様々なモデルによりマクロ的な予測・制御が可能となっている。しかしながら、マイクロ/ナノ流路での沸騰熱伝達も含めて、これらの機器の高性能化のためには、マイクロ/ナノスケールでの沸騰現象素過程解明と沸騰現象の直接数値シミュレーション実現が強く求められている。一方、鋼材制御冷却過程では、高温面は膜沸騰状態から遷移沸騰を経て核沸騰状態まで非定常的な冷却過程を辿る。この複雑な過程については、測定の困難さなどから未だに正確な状況把握、例えば濡れ開始条件の汎用的な理解には至っておらず、表面熱流束・表面温度や気液二相流状態の詳細な計測と数値シミュレーション実現が必要とされる。

 2007 年11 月〜2017 年3 月にわたり約10 年間設置された熱工学部門・相変化研究会 (A-TS06-18、主査:小泉安郎)では、主に沸騰現象を対象として「沸騰伝熱についての徹底 討論」と会合を重ね、沸騰研究の到達点の整理と沸騰メカニズム未解決点の整理を行い、 最終的には、1990 年以降の日本の沸騰研究成果を下記出版物として取りまとめた。

 BOILING: Research and Advances, Elsevier 社より2017年7月に出版
 (著作権は日本機械学会が保有し、出版権をElsevier 社が保有

 本研究会は、この相変化研究会の後継研究会として、下記のような残された課題を対象として、この領域の研究に関わりを持つ研究者が一堂に会し、議論を深め、今後の研究の方向性を見出すことを目的とする。

<残された主な課題>
(1) 未解決の沸騰現象素過程解明(高温面での濡れ現象と固体表面の物理化学的評価、沸 騰核生成点の正確な予測、蒸気泡の合体・分離条件、など)
(2) (1)を可能とするマイクロ/ナノスケールでの計測技術の確立・進展
(3) (1),(2)を基礎として、沸騰現象の直接数値シミュレーションの実現
(4) 沸騰熱伝達特性のデータベース構築(例えば、標準伝熱面での沸騰熱伝達特性)
(5) (1)〜(4)について、大型PJ 研究費獲得による推進体制構築

                                                                             以上