自己吸引沸騰
気泡の膨張を利用して、加熱面へ自発的に液体を供給する沸騰冷却です。
沸騰冷却では、発生した蒸気を速やかに排出すると同時に、加熱面へ新しい液体を供給し続ける必要があります。高熱流束になると、この二つの流れが干渉して加熱面が乾き、限界熱流束に達します。
自己吸引沸騰では、気泡を単なる流動抵抗として扱わず、その成長・膨張を液体供給の駆動力として利用します。
研究のポイント
- 気泡膨張による自発的な液供給
- 蒸気排出経路と液供給経路の分離
- 薄液膜蒸発による高い熱伝達
- 低圧・下向き加熱・3D実装への展開
基本原理
放射状拡張流路の上に多孔質層を配置し、蒸気は拡張流路に沿って排出し、液体は多孔質層から加熱面へ供給します。気泡の成長と膨張によって流路内に一時的な圧力差が生じ、その圧力変化が液体の吸引を助けます。
蒸気と液体の経路を分けることで、プール沸騰で問題になる気液の対向流干渉を抑えます。
薄液膜蒸発を利用する
液体が継続的に供給されると、加熱面と気泡の間には薄い液膜が形成されます。熱抵抗の小さい薄液膜からの蒸発を利用することで、高い熱伝達性能を得ることができます。
現在の研究
最近は、高熱流束域で液供給がどこまで維持できるか、低圧条件や下向き加熱面でも同じ仕組みが働くかを調べています。さらに、側面からの多孔質供液や濡れ性制御を組み合わせ、より安定して液体を供給できる構造を検討しています。
この考え方は、データセンター冷却だけでなく、3D実装半導体や重力方向の制約が大きい熱機器にも応用できる可能性があります。
関連する研究成果
- Shaobo Yang, Sihui Hong, Chaobin Dang, “Self-pumping boiling mechanism bridging passive and active cooling performance,” International Journal of Heat and Mass Transfer (2026).
- Chaobin Dang, Shaobo Yang, Sihui Hong, Yu Chen, “Development of novel self-suction boiling heat exchanger,” TFESC (2023).
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