流体システム研究室 本文へジャンプ

第二回中間発表会

 平成24年8月10日金曜日に産官学連携本部3階の研修室にて、夏休み突入前の集大成として、第二回中間発表会を開催しました。その時の様子を示します。この中間発表会には平成23年度修士課程修了生の丸山君が参加してくれました。それぞれの発表の様子と、トピックスを以下にまとめます。研究の進展に大きな貢献をしてくれたOBの皆さんの名前(敬称略)を()内に書きました。



トンネル火災時におけるFCVからの水素ガス放散とその安全な排気方法の研究

 発表は古田君です。梶川君は小型模型トンネルの製作に専念するために、発表を控えてもらいました。古田君は相変わらずいい笑顔です。この研究は、これまでにガス流動の可視化(淡路)、ガス濃度計測と濃度分布モデル(丸山、阪井)、数値シミュレーションプログラム開発(淡路、丸山)によって、ガスの流動とその結果生じる危険性について十分な精度で把握できるようになりました。今年からはさらに一歩進んで、放散されたガスを安全に排気できる排気方法について数値シミュレーションと実験から明らかにしようとしています。縦流換気方式ではどうしても安全に排気することはできませんので、研究室でこれまで研究を行ってきた集中排気方式の適用を目指しています。古田君はその最初の数値シミュレーション結果を発表してくれました。


古田君

梶川君と古田君


トンネル火災時における集中排煙システムの有効性に関する検討

 馬嶋君は、これまで三年にわたって実施してきた集中排煙の春江実験場でのデータを再検討し、その中から普遍性のある実験式を導き出そうとしています。まずは昨年最後の追加実験データを再整理した結果、更に汎用性のある実験式を導くことができました。また、縦流換気ありの集中排煙(加藤)、対称条件を用いた集中排煙(馬嶋)、集中排煙のみによる煙の閉じ込め(加藤)などの各種集中排煙方式によって得られていた煙層高さや排煙効率が実は統一的な一つの実験式で表現できることを発見しました。以下はその結果の図です。これからは、数値シミュレーションによる詳細な解析と、小型模型トンネルによる相似則の確認などに取り組む予定です。


馬嶋君


水噴霧による火災抑制

 この研究は、FDSによる数値シミュレーションと実験(尾崎)、水噴霧の生成機構の解明と水噴霧による発熱速度低減量の測定(窪田)、数値シミュレーションプログラムの開発(伊串)の継続になっています。本郷君は、伊串君の数値シミュレーションプログラムを学び、燃焼数値シミュレーションについて発表しました。屋島君は今年度から研究室に加わったニューフェイスですが、これまでに研究室にいなかったタイプで、写真にもそれが表れています。しかし、研究にはしっかり取り組んでおり、今年はすでに酸素消費法(天秤に変わる発熱速度の計測方法で燃焼による酸素の減少量から発熱速度を逆算する)による新しい計測方法を確立し、3%以内の誤差で発熱速度を計測できるようになっています。実験装置の気密性不足を改善し、更に除湿器によって除湿された後の計測ガスにまだ含まれている湿度を考慮して、発熱速度を計測するように改善しています

本郷君

屋島君


羽ばたき翼の非定常揚力発生機構

 この研究は、3年前から始まった研究であり、羽ばたき運動実験装置の確立(伊串)、1年空いて、ウェイクキャプチャーの再現(田悟)と続いています。今回、田悟君はB4のサポートを担当してもらい、発表は青木君です。青木君は来年度から修士課程に進学する予定です。昨年の田悟君の研究に引き続いて、ホバリング飛行時における特殊な非定常揚力発生機構(ウェイクキャプチャーとラピッドピッチローテーション)の効果について調べています。昨年よりもレイノルズ数を更に一桁小さくして、小さな昆虫の場合について調べています。まだ実験装置自体の信頼性を確認している状況ですが、回流水槽実験装置(伊串)も本格的に稼働させることができ、羽ばたき翼周りの流れ場について細かく調べることができるようになってきました。田悟君は9月に機械学会にて学会発表の予定で準備を進めています。また、今年から数値シミュレーションにもチャレンジしたいと望み、勉強に取り組み始めているところです。


青木君 田悟君の写真を撮り忘れました。


乱れを考慮した翼の空力特性

 この研究は今年から始まった内容です。乱流に含まれる細かい渦による変動をとらえることができる本格的な熱線流速計を使用して、その原理から学び、計測プローブは自作しています。この熱線流速計は、トンネル火災実験の換気風速計測で使用していたものと異なり、計測プローブは5μmの極細のタングステン線を使用します。計測にかかる手間も大きく大変ですが100kHzくらいの高周波数の乱流乱れまで計測できます。この計測技術が確立すると、たとえばトンネルの数値シミュレーションで必要な流入流速に含まれる乱れの成分を計測できるようになります。森下君は熱線流速計を用いて乱れの影響が翼の空力特性に及ぼす影響を調べようとしています。本研究室では予算が限られているので、熱線プローブは自作しており、空力特性実験装置も中古のため、その校正のための実験方法を確立しました。


森下君